(平成16年1月)No.50

年 頭 所 感

 
 

西部金属熱処理工業協同組合 理事長
(株)東洋金属熱錬工業所 代表取締役社長
                川 嵜 勝 史

 
 
 

  新年明けましておめでとうございます。理事長を拝命してから三年が経過しました。この間、会員、賛助会員、役員の皆様、そして関連団体・関係機関の方々には大いなるご協力とご支援を頂き誠にありがとうございます。理事長に就任した平成13年度は、協同組合傘下の生産金額は前年比2桁台の落ち込みを記録し、国内市場は縮小し、製造業の海外拠点の展開で現地生産のラッシュ、国内製造業の空洞化が深刻に実感され、アジアや中国は猛烈な勢いで日本にキャッチアップしてくる切迫感があり、これらの国は日本にとって手強い競合国もしくは脅威の国と見られていました。しかし、その後のアジア市場・中国市場への対応を見ていると、日本は次第にアジア・中国に市場としての魅力を感じ、その開拓の可能性に自信を持ち始めたのではなかろうか。近頃、製造業、物造りの復権といわれるが、我々は、そのことを切に願うものであり、製造業、熱処理業の復権はいかにして可能かを考えてみたい。
 ここ数年間に我々を取りまく政治、経済経営環境の変化について我々は余り気づかないが、相当変化したのではないか。規制緩和、構造改革に起因するデフレも、当時世界一高い物価水準にあると言われた日本にとって、特に製造業にとっては、売価の下落という難しい側面もあるが、人件費、物件費の下落といった原価要素の低減に繋がり、価格競争力が強まるという好ましい側面があった。規制緩和・構造改革もまだまだ道半ばであるが、熱処理業のコストと深く関わりのあるエネルギー価格については、一層の自由化、競争政策の促進を、また運送価格については、道路公団の民営化を通じて合理性と透明性のある組織に変革し、より安価な高速道路通行料金を利用者が享受できるように政治家に望みたい。さらに、アジアの競合国と伍していくには、先ず絶対負けないという気概を持つことが大事だと考える。
 そこで熱処理業界はいかに対処すべきかについて述べてみる。
1.高付加価値の製品に対応できる技術と技能の向上を目指す。
2.IT技術の利用により事務効率、組織効率をたかめ、併せて企業内外の情報化を推進する。
3.日本の顧客の要求にベクトルを合わせた開発を、材料メーカ、加工業者、組み立て業者が連携協力して
  おこなう。
4.顧客の経営動向をよく把握し、すばやく、柔軟に対応する。
5.開発した熱処理技術の機密保持、流失防止、知的財産の保護を真剣に取り組む。
6.アジア・中国の生産基地としての特徴、強さと弱みを研究し、日本独自の分野を常に確保する。
 熱処理工業界においては、上記事項に合った事業を会員の皆様と、関連諸団体、関係機関の方々のご支援を頂いて推進し、顧客業界からの信頼を高め、業界の信頼感を高めてゆきたいと思っております。
 最後になりましたが、組合員各社の繁栄と発展を祈念しまして,年頭のご挨拶とします。
 併せて今年も引続きご支援ご協力のほどよろしくお願いいたします。

 
 
次の記事>>
 
    No.50No.49No.48No.47No.46No.45  
     
Copyright (C) 2005 Seibu Metal Heat Treatment Association. All Rights Reserved.